姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.202 肝試し、再び
真っ暗な校舎の中を広瀬真のスマホの光だけを頼りに歩く。
先頭を一歩歩くごとに交代するからなかなか前に進まない。
いつか榛名聖に嵌められて肝試しすることになった時とほぼ同じ状態で、私達はいつもの教室を目指している。
「本当にお前は……!
なんで毎回こんな暗くなるまでスマホがないことに気付かねぇんだよ!」
「アンタ達と家族以外に連絡取る人がいないんだらしょうがないじゃない!」
「……なんか悪かったな。」
「何その可哀想な人を見るみたいな態度!」
うるさくしている様に見えるが、このやりとりはもちろん小声。
こんなところで不法侵入で見つかって処分されたくないからね。
相も変わらずくるくると回る様に先頭を譲り合いながら進むから、数メートルの距離が数百メートルにも感じられるほどの遅さだ。
広瀬真を先頭にしてようやくあと一教室分の距離まで来た時、背後で誰かが階段を登ってくる音がした。
「「!!」」
2人同時にそれに気づいて顔を見合わせる。
そうしている間にも足音はどんどん近づいてくる。
「ゆ、ゆゆゆゆ幽霊!?」
「あ、アホか!
そそ、そんなわけねぇだろ……!」
私の発言を否定しながら広瀬真も青ざめている。
恐怖で音のする方を2人で凝視していると、突き当たりの壁に白い光がゆらゆらと浮遊し始める。
幽霊の足音が階段を上り切ったのか一瞬ピタリと止まった時、ぼんやりと浮かぶ黒い人の様な影を見た。
こっちに来る!
そう思った時、広瀬真が私の肩を引いて後ろへ追いやり自身はその前に出る。
それと同時に煌々とした光が私たちを照らして、その眩しさに広瀬真の背中越しに目を細めた。