姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「ババ抜きで勝った人の願いを叶えるいつかの約束、あれ、今使うから。」

本音で話をしよう。いつもみたいにぶつかろう。
だからお願い、“仕方ねぇ”って頷いて。


「広瀬真の気持ちに、ちゃんと返事をさせて欲しい。」

見開いたままの広瀬真の大きな目が初めて動揺して揺れる。

弱気になったその顔に緊張が走るが、絶対に目を逸らしてやらないと表情を引き締めた。

頬に風が吹き付けて、ピリピリと痛む。
広瀬真が困ったように項垂れ、視線がまた外れる。

「あ゙――……ズリぃだろ、それ……。
拒否権ねぇじゃんか。」

消え入る様に呟いてしばらく沈黙が続き、突然、広瀬真が何かを吹っ切るようにガシガシと自身の髪を掻き乱し始めた。

「わかった。」

そう言って広瀬真がゆっくりと顔を上げる。

その時にはもう瞳の揺れは消えていて、いつものあの意志の強そうな目が真っ直ぐ私を貫いた。

「だったら俺も、ちゃんと()うから聞いてほしい。」


ブレない視線。真剣な表情。

握った拳から広瀬真の緊張と覚悟が伝わって、私は息を呑む。


これから言われるであろうことをわかっているのに――
いるからこそ緊張して上手く声が出なくて、でも応えたいからぎこちなく頷いた。

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