姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.219 優しい人
図書館の隣の小さな公園で、改めて私と近江涼介は向かい合って立っている。
道路のど真ん中で立ち話もなんだから、と場所を移動したのだ。
(ちょっと時間を置くと緊張が勝ってしまう……!!)
勢いのままズバッと言いたかったのに。
変に移動を挟んでしまったせいだ。
緊張で目がグルグルと回っている気がして、口もモゾモゾと動いたまま開けない。
変な汗も出てきた。
「あの、さ。あのね……」
喉につかえて言葉が上手く出てこない。
目も合わせられず視線はずっと足元だ。
自分の気持ちを打ち明けることってこんなに緊張するものなのか。
ここ最近はいろんな発見の連続だ。
私がなかなか話をしなくて、近江涼介はどんなうんざりした顔をしているだろうかとチラリと上目で伺い見る。
俯きっぱなしの私を見るその表情は無なのに、優しさが伝播して胸がキュンと締め付けられた。
「……近江涼介は優しい奴だったね。」
うんざりなんてしてるわけなかったか。
不思議と緊張が解れて、笑顔まで溢れてくる。
胸がじんわりと甘く痛むのに、切なくてちょっとだけ寂しい。