姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#最後が始まる

Ep.221 3年生、初日

陽光暖かで、穏やかな4月。
早咲きの桜はすでに散り始めている。

昨日は新入生の入学式、
そして今日から新年度がスタートした。

新年度といえば、そう。あの恐怖再び、だ。

「あなたに会いたくてこの学校に入学しました!!」

「本物のひめちゃんだ……!SNSで見るより美人!握手してください!!」

「ひめちゃーん!」
「藤澤さーん!!」

「うわわわわわ……!」

去年以上の取り巻きの数と勢いに、あっという間に人混みに呑まれてもみくちゃになった。

むしろコイツら私が今どこにいるかちゃんと認識してる!?押し潰されそうになってるんだけど!!

熱気と酸欠で意識が遠のいてくる。
命が尽きかけたその時、人ごみを割って誰かに腕を引っ張られて人混みから抜け出した。

「大丈夫ですか!?姫ちゃん!」

「あ、天音ちゃん……!」

ふらつく私の背中を抱き止めて支えてくれるその様は、まさに王子様のそれだ。

人集りはすでに私がいなくなっていることにも気づかず、“ひめちゃん姫さん”とまだ盛り上がっている。
やっぱり私の居場所をわかっていなかった。


「相変わらずすげぇ大混乱だな。生きてて良かったな?姫。」

いつのまにか私達の背後に立っているいつもの3人は、全く他人事で私を取り巻いていた人混みを眺めている。

いつの間にやら大勢の女子が花道を作っていて、その真ん中にポツンと立たされている状況。

どうでもいいけど、なんでコイツらのファンだけいつも躾が行き届いてんのよ。

涼しい態度にムッとして、1番最初に声を掛けてきた広瀬真の襟元を掴んで力一杯締め上げた。
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