姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.220 日常が戻る
「え〜!付き合うことになったの!?結局!?」
翌日の昼休み、旧校舎のいつもの教室には榛名聖の不服そうな声が響いていた。
ハッキリ“付き合う”とか言われるとなんか照れる。
「付き合うことになった」と淡々と報告した近江涼介も照れもせずそのワードを言った榛名聖も、なんて大人なんだ。
隣で椅子に座って小さくなってポッポと赤くなっている私を見て、広瀬真はあっけらかんとした様子で口を開く。
「よかったじゃねぇか。2人してウジウジやられるよりよっぽどスッキリしていいわ。
オメデトー、だろ?」
そう言って私と近江涼介を見てニヤリと笑って、またテキストに目を落とす。
実はちょっとくらい気まずいと思っていたのを見抜かれていた様だ。
“ウゼェし心配すんな”って態度なんだと思った。
「まぁひーちゃんがいいならいいけど〜。
あ、でもここでイチャイチャはやめてよねぇ?ここにはピュアボーイと振られんぼと受験生がいますので〜。」
「オイそれ全部俺のことだろ。」
「イチャイチャなんかしないから!!
振られんぼなのはごめん!」
「お前まで傷抉ってくんな!と言うかお前は抉るな!」
恋が絡んで大きく形は変わったけど、みんなと友達なことも賑やかな毎日も変わらない。
それは3人も私もそうしたいって求めてくれたからで、決して当たり前ではないことももう知っている。
自分自身を好きでいてくれる友達がいることの尊さもありがたみも心から実感して、
――私達はいよいよ高校最後の1年を迎えようとしていた。