姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

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――……

サーカスの様なメルヘンな屋根は電飾がピカピカと光っている。

その下にはこれまたメルヘンなウマやら馬車やらが輪になって並んでいて、小さな子どもがどれに乗ろうかと走り回っている。

そんな中で私と近江涼介は、テキトーに選んだ隣り合わせの二頭のウマにそれぞれ跨っている。

「……ねぇ。これ、面白い?」

まだ停車中のメリーゴーランドの中で、訝しげに眉を寄せる。

ゴテゴテに装飾された白馬に跨る近江涼介は、キャラに合わなさすぎて違和感しかない。

それでも傍目には物凄いイケメンがウマに乗る構図は絵になる様で、柵の外側にいるママさん達が子供そっちのけで近江涼介を見ている。

「面白くはないけど……箸休め的な?」

そう言って近江涼介がどこか遠くを見始めたので、ハッとした。

「もしかして、絶叫系苦手だった?」

無表情はいつものことだと思ってたから、無神経に振り回してしまっていたことに焦る。

その時、お城でダンスパーティーでも始まったかの様なメルヘンな音楽が流れてウマ達がふわふわと動き出した。

大きくゆっくり上下に揺れながら、ウマ達が前後を入れ替わりながら周回する。

隣り合っていたはずの近江涼介も私の後ろに並ぶようになってしまって、困った顔で振り返った。


……ゴテゴテのメルヘンな馬に乗った無愛想な男が、キラキラした曲に乗ってふわりふわりと揺られている。


腕を組んでつまらなそうにしているのに、見た目だけは極上。

「うわぁ、おうじさまだぁ!」

側のウマに乗っていた小さな女の子が、目をキラキラさせて近江涼介に釘付けになっていた。


「っふ、……あはっ、わははははは!」

その光景があまりにも可笑しくて、申し訳なさも吹き飛んでけらけらと大笑いする。

キラキラ光る空間や、メルヘンな音楽にそぐわない笑い声がメリーゴーランドが回る間ずっと響いていた。
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