姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
***
その後もいくつかアトラクションに乗って、気付けば青空と夕焼けが入り混じった空だ。
さっき乗ったメリーゴーランドやパークの奥に見える観覧車のライトアップが、園内をロマンチックに彩って昼間とは違う雰囲気を演出していた。
「あとは観覧車に乗ったら全制覇ね!」
残すアトラクションはあと一つで、張り切って観覧車の乗り場を目指す。
ロマンチックな雰囲気に当てられ、周りのカップル達は寄り添ったり手を繋ぎながら歩く中を、私は近江涼介を引き連れて大手を振って歩いている。
「……そういうテンションで観覧車に乗る奴、初めて見た。」
近江涼介は少し呆れたように呟きながらも、はしゃぐ私を止めることはしない。
「早く早く!」
時々振り返って笑いかけると、ため息をつきつつ少し歩調を早めてくれた。
「お二人様ですね。どうぞ、いってらっしゃい!」
観覧車に乗り込むと、キャストのお姉さんが笑顔で手を振って送り出してくれた。
ドアが閉まると途端に静か。
近江涼介と向かい合い、窓に張り付いて外を見る。
「わぁ、どんどん地面が離れてく……。
あっ、あれさっき乗ったやつじゃない?
見て見て!近江涼介……」
手招きしながら近江涼介の方を向くと、バチンと視線がぶつかった。
近江涼介は今振り向いたわけじゃない。
ずっと私を見ていたのだ。それも優しい表情で。
――途端に恥ずかしくなってきて、手招きした手をぎこちなく下ろして視線を逸らす。
しんとした密室で自分の心臓の音だけがうるさくて、なんだかちょっと気まずくなった。
「今日はたくさん笑うな。」
私を見つめたまま近江涼介が言った。
その言葉に驚いて、私も近江涼介を見た。