姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「うん。久しぶりにみんなでくだらない話ができて、なんというか……よかった。
闇雲に勉強してばっかりだったし。確かにちょっと行き詰まってたかも。」
迷っていることまでうっかり言ってしまいそうになって、一息ついて肩を竦める。
榛名聖はそれに気づいたようにほんの少し目を見開いて、それから小さく笑って首を横に振った。
「――ねぇ、ひーちゃん。今日の夜、みんなが寝た後リビングに来てくれる?」
色香を感じさせない、子どものような純真な笑顔。
それでいて、榛名聖は何かを伝えようとしている。
だから、断わるなんて考えられなかった。
「うん、わかった。」
榛名聖の言おうとすることが何かはわからない。
でもきっと大切な話なんだろう。
微笑む榛名聖の目には夏の眩しい光線とは裏腹に、暖かく滲むような光が揺らいでいる。
ちゃんと彼の方を向いて、私も静かに頷いた。