誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~

「ああ、明巳の嫁ね。
 美人だったな。

 ちょっとぼうっとしているように見えたんだが、結構、切れ者らしいな」

 自宅に帰った美春は、今まで触れたくなかった話題に触れてみた。

 明巳の結婚相手について父親に聞いたのだ。

「そういえば、昨日、若田くんが仕事で訪ねてきたんで、明巳のことも聞いたんだが。
 夫婦仲良くやってるそうだよ。

 押し付けられた結婚で、最初は乗り気じゃなかったのに、よほどいい奥さんなんだろうな」
と父は笑う。

 なにが仲良くやってるそうだ、よっ。

 なんて報告するのよ、若田くんっ!
 可愛くても許さないわよ!
と美春は思う。

 見てらっしゃいっ。
 絶対、明巳さんを奪い返してやるんだからっ、と明巳が聞いたら、

「いやいやいやっ。
 俺は元からお前のものじゃないからなっ」
と叫び出しそうな誓いを立てていた。
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