誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「現れたんじゃないのよ。
 たまたま、この子がいたのよ。

 知らなかったけど、わかったの。
 見た瞬間、自分の娘だと思ったのよ」

 ……お母さん、と母を見つめるほたるの後ろで、実里が、

「くっ。
 思いがけず、いい話になってしまったわっ」
と何故か悔しがる。

 いや……いけないのですか、と思ったとき、母が明巳に配膳ロボットの話をはじめた。

「あの、手を振られたら、振り返す機能をつける話なんですけど」

「ああ、あれはいいですね」
と明巳は頷いたが。

「社内で、でも、うっかりヤクザとかに手を振ったら、店がヤクザとの癒着を疑われるんじゃないですかね?

 って話が出たんですよね」
と母は言う。

「誰も疑わないと思いますよ……。

 というか、そういう事態になる前提として、まず、ヤクザが配膳ロボットに手を振ってますよね?」

「振るんじゃないですか? ヤクザも。
 結構、犬猫、子どもにも手を振ってますよ、あの人たち」

 そんな話を母と明巳がしている横で、まだ美春は打ちひしがれていた。
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