誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
目を覚ましたほたるは、自宅のあのソファにいた。
昨日、帰るなり、一緒にそこに倒れて込んで寝たらしい明巳も起きたようだった。
肘掛けに頭を預けたままの明巳の顔をそっと覗き込むと、明巳がちょっと笑って言った。
「……お前は誰だ?」
「……あなたの妻です」
ちょっと照れてほたるは言う。
明巳はほたるの腕をつかむと、自分の元に引き寄せた。
「だと思った――」
と明巳が耳元で囁く。
ほたるを抱いたまま起き上がった明巳は、まるで誓いの口づけのように、そっと唇を兼ねてきた。
だが、そのとき、外で誰かが騒ぎ出した。
「やだっ。
チャイム鳴らないわよ、この家ーっ」
「家、掃除するんでしょっ? 来たわよーっ」
「おぼっちゃまーっ」
美春や実里やじいやさんたちがやってきたようだ。
更に誰か来たのか、車が表に着く音までする。