秘めた恋は、焔よりも深く。
箸を置き、ふっと息をついた彼は、美咲をまっすぐに見た。
「……でも、やっぱりお前の顔を見ると、疲れが飛ぶな」
不意打ちのような言葉に、美咲は一瞬箸を止める。
「……また、そうやって」
頬が熱を帯び、思わず視線を逸らした。
龍之介はそんな彼女の反応を楽しむように、ゆるりと笑みを浮かべる。
「本当のことだ。今夜も、来てよかった」
龍之介の低い声に、美咲は少し照れながらも微笑む。
「そういっていただくと……張り切って準備したかいがありました」
「張り切ったのか?」
龍之介が目を細める。
「はい。昨日のデートのお礼がしたかったんです」
美咲はどこか嬉しそうに、けれど少し恥ずかしげに言葉をつむぐ。
龍之介の表情が一瞬和らぎ、頬にゆるやかな笑みが広がった。
「……お礼をされるほどのことはしてないつもりだが。こちらこそありがとう」
「手伝わなくていいのに……」
美咲がそう言ったときには、すでに龍之介は袖をまくり、食器をシンクへ運んでいた。
「いいから。二人でやったほうが早い」
低い声に逆らえず、結局並んで片づけを始めることになる。
水の音と、食器が重なる小さな音。
それだけなのに、妙に心が安らいでいく。
「……ありがとうございます」
美咲が小さくつぶやくと、龍之介は横目でちらりと彼女を見て、口元を緩めた。
そのおかげで、片づけはあっという間に終わり、キッチンにはすっきりとした静けさが戻った。
肩を並べて立ったまま、ふたりはふっと顔を見合わせ、同時に笑みをこぼした。
「食い逃げのようで申し訳ないが……まだ仕事が残っているから、帰るよ」
龍之介がそう言って立ち上がる。
「……気を付けてお帰りください」
美咲は小さく微笑み、玄関まで彼を見送った。
靴を履き終えた龍之介が、ふと彼女を振り返る。
次の瞬間、優しく抱きしめられた。
その腕の力強さに、美咲は思わず息をのむ。
やがて、彼は体をわずかに離し、美咲の顔を両手で包む。
大きな掌の温度が頬に伝わり、心地よい熱となって広がった。
美咲は自然と目を閉じていた。
唇に触れる、甘く深い口づけ。
ひとつ、ふたつ……繰り返されるたびに、息が浅くなっていく。
龍之介の腕が腰を引き寄せ、ワンピース越しに背中を優しくなぞる。
布地越しの愛撫が、ぞくりとした余韻を残した。
次の瞬間、彼の唇は耳へと移り、耳たぶをやわらかく愛撫する。
熱い息がかかるたび、美咲は目を閉じたまま、小さく身を震わせた。
ただされるがまま、彼の深い熱に包まれていた。
熱い吐息が耳にかかる。
「……愛しているよ」
低く囁かれた言葉に、美咲の胸は大きく震えた。
次の瞬間、龍之介の唇がもう一度、美咲の唇に落ちる。
名残惜しさを込めた甘い口づけ。
そして彼はゆっくりと体を離し、まっすぐな眼差しを残して扉の向こうへ消えていった。
閉まった扉を見つめながら、美咲は胸の奥に残る熱と震えに、ただ静かに立ち尽くすしかなかった。
「……でも、やっぱりお前の顔を見ると、疲れが飛ぶな」
不意打ちのような言葉に、美咲は一瞬箸を止める。
「……また、そうやって」
頬が熱を帯び、思わず視線を逸らした。
龍之介はそんな彼女の反応を楽しむように、ゆるりと笑みを浮かべる。
「本当のことだ。今夜も、来てよかった」
龍之介の低い声に、美咲は少し照れながらも微笑む。
「そういっていただくと……張り切って準備したかいがありました」
「張り切ったのか?」
龍之介が目を細める。
「はい。昨日のデートのお礼がしたかったんです」
美咲はどこか嬉しそうに、けれど少し恥ずかしげに言葉をつむぐ。
龍之介の表情が一瞬和らぎ、頬にゆるやかな笑みが広がった。
「……お礼をされるほどのことはしてないつもりだが。こちらこそありがとう」
「手伝わなくていいのに……」
美咲がそう言ったときには、すでに龍之介は袖をまくり、食器をシンクへ運んでいた。
「いいから。二人でやったほうが早い」
低い声に逆らえず、結局並んで片づけを始めることになる。
水の音と、食器が重なる小さな音。
それだけなのに、妙に心が安らいでいく。
「……ありがとうございます」
美咲が小さくつぶやくと、龍之介は横目でちらりと彼女を見て、口元を緩めた。
そのおかげで、片づけはあっという間に終わり、キッチンにはすっきりとした静けさが戻った。
肩を並べて立ったまま、ふたりはふっと顔を見合わせ、同時に笑みをこぼした。
「食い逃げのようで申し訳ないが……まだ仕事が残っているから、帰るよ」
龍之介がそう言って立ち上がる。
「……気を付けてお帰りください」
美咲は小さく微笑み、玄関まで彼を見送った。
靴を履き終えた龍之介が、ふと彼女を振り返る。
次の瞬間、優しく抱きしめられた。
その腕の力強さに、美咲は思わず息をのむ。
やがて、彼は体をわずかに離し、美咲の顔を両手で包む。
大きな掌の温度が頬に伝わり、心地よい熱となって広がった。
美咲は自然と目を閉じていた。
唇に触れる、甘く深い口づけ。
ひとつ、ふたつ……繰り返されるたびに、息が浅くなっていく。
龍之介の腕が腰を引き寄せ、ワンピース越しに背中を優しくなぞる。
布地越しの愛撫が、ぞくりとした余韻を残した。
次の瞬間、彼の唇は耳へと移り、耳たぶをやわらかく愛撫する。
熱い息がかかるたび、美咲は目を閉じたまま、小さく身を震わせた。
ただされるがまま、彼の深い熱に包まれていた。
熱い吐息が耳にかかる。
「……愛しているよ」
低く囁かれた言葉に、美咲の胸は大きく震えた。
次の瞬間、龍之介の唇がもう一度、美咲の唇に落ちる。
名残惜しさを込めた甘い口づけ。
そして彼はゆっくりと体を離し、まっすぐな眼差しを残して扉の向こうへ消えていった。
閉まった扉を見つめながら、美咲は胸の奥に残る熱と震えに、ただ静かに立ち尽くすしかなかった。