秘めた恋は、焔よりも深く。
メニューを閉じて電話を切った龍之介に、美咲が姿勢を正して問いかける。
「……えっと、今日のアジェンダは何でしたか?」
「全部コンシェルジェが組んでくれているらしい」龍之介が落ち着いた声で答える。
「俺らの仕事は、その体験に対して細かくフィードバックを返すことだ。もちろん、サービス、リネン類、食事のクオリティー、立地……それから“カップル向け”の特別サービスも含めてだな」
「なるほど……」美咲はメモを取りながら小さくうなずく。
「具体的な評価項目を意識して過ごせばいいわけですね」
「そうだ。楽しむのも仕事のうちってことだ」龍之介がわざとらしく笑ってみせ、美咲をちらりと見る。
「食事がくるまでまだ少しあるな」
龍之介の声に、美咲は首を傾げる。
「じゃあ、さっそく“意識して”もらうか」
不意に手を取られ、テラスから室内へと導かれる。大きなソファに腰を下ろした龍之介は、ぐっと美咲を引き寄せた。
「え……?」と驚く間もなく、後頭部を大きな掌で支えられる。
次の瞬間、深く長い口づけが落とされた。
龍之介は唇を離し、低く笑った。
「そうだなぁ……このソファ、この態勢にはちょうどいいな」
その言葉の余韻のまま、美咲は大きな体に押し倒される。
「え……!」と声を漏らす間もなく、唇が再び重ねられた。
深く、容赦のない口づけ。
美咲は息をつく間もなく、ただ熱に巻き込まれていった。
長く深いキスが、美咲の理性を少しずつ溶かしていく。
抗う気持ちはどこかへ消え、ただ熱に絡め取られていく。
とろけた表情を浮かべる彼女を見て、龍之介は満足げに目を細めた。
そして次の瞬間、熱を刻みつけるように、彼の唇が美咲の首筋へ押し付けられた。
首筋に熱が広がり、思わず声が漏れそうになる美咲。
けれど、美咲はぎゅっと唇を噛みしめて、それを必死にこらえた。
首筋に広がる熱に、美咲は小さく身をよじり、唇をきつく噛んで声を押し殺した。
「……我慢してるのか?」
囁くように言って、龍之介の口元が愉快そうに歪む。
彼はゆっくりと、美咲のブラウスに手をかけた。
ひとつ、またひとつとボタンを外していき、柔らかく露わになった鎖骨へ唇を押し付ける。
廊下の代わりに、テントの布越しに外の気配が伝わってきた。
足音とともに「お食事をお持ちしました」というコンシェルジェの声が響く。
息を荒くしたままの美咲を、龍之介は名残惜しそうにソファから起こし、そっと支える。
「……続きは、あとでな」
低く囁いてから、立ち上がって入口の扉へ向かった。
その間に、美咲は慌ててブラウスのボタンを留め、身なりを整える。
まだ頬に残る熱を隠すように、深呼吸をひとつした。
テーブルに料理が次々と並べられていく。
彩り鮮やかな皿が並ぶたび、ほんのり漂う香りがテントの空気を満たしていった。
コンシェルジュが去り、静けさが戻る。
さきほどまでの熱を秘めたまま、美咲は思わず視線を落とした。
整えたはずのブラウスの胸元に、まだ龍之介の温もりが残っている気がして。
テーブルに並ぶ食事の鮮やかさよりも、その余韻に心が揺れていた。
テーブルの上に残ったグラスを眺めながら、龍之介が携帯を手に取った。
「そろそろコンシェルジェに連絡するか。……30分後くらいでいいと思うか?」
「そうしましょう。その方が気持ちも落ち着きますし」
龍之介はゆったりと背もたれに身を預け、
「決まりだな。迎えは30分後……それなら余裕はある」
「……えっと、今日のアジェンダは何でしたか?」
「全部コンシェルジェが組んでくれているらしい」龍之介が落ち着いた声で答える。
「俺らの仕事は、その体験に対して細かくフィードバックを返すことだ。もちろん、サービス、リネン類、食事のクオリティー、立地……それから“カップル向け”の特別サービスも含めてだな」
「なるほど……」美咲はメモを取りながら小さくうなずく。
「具体的な評価項目を意識して過ごせばいいわけですね」
「そうだ。楽しむのも仕事のうちってことだ」龍之介がわざとらしく笑ってみせ、美咲をちらりと見る。
「食事がくるまでまだ少しあるな」
龍之介の声に、美咲は首を傾げる。
「じゃあ、さっそく“意識して”もらうか」
不意に手を取られ、テラスから室内へと導かれる。大きなソファに腰を下ろした龍之介は、ぐっと美咲を引き寄せた。
「え……?」と驚く間もなく、後頭部を大きな掌で支えられる。
次の瞬間、深く長い口づけが落とされた。
龍之介は唇を離し、低く笑った。
「そうだなぁ……このソファ、この態勢にはちょうどいいな」
その言葉の余韻のまま、美咲は大きな体に押し倒される。
「え……!」と声を漏らす間もなく、唇が再び重ねられた。
深く、容赦のない口づけ。
美咲は息をつく間もなく、ただ熱に巻き込まれていった。
長く深いキスが、美咲の理性を少しずつ溶かしていく。
抗う気持ちはどこかへ消え、ただ熱に絡め取られていく。
とろけた表情を浮かべる彼女を見て、龍之介は満足げに目を細めた。
そして次の瞬間、熱を刻みつけるように、彼の唇が美咲の首筋へ押し付けられた。
首筋に熱が広がり、思わず声が漏れそうになる美咲。
けれど、美咲はぎゅっと唇を噛みしめて、それを必死にこらえた。
首筋に広がる熱に、美咲は小さく身をよじり、唇をきつく噛んで声を押し殺した。
「……我慢してるのか?」
囁くように言って、龍之介の口元が愉快そうに歪む。
彼はゆっくりと、美咲のブラウスに手をかけた。
ひとつ、またひとつとボタンを外していき、柔らかく露わになった鎖骨へ唇を押し付ける。
廊下の代わりに、テントの布越しに外の気配が伝わってきた。
足音とともに「お食事をお持ちしました」というコンシェルジェの声が響く。
息を荒くしたままの美咲を、龍之介は名残惜しそうにソファから起こし、そっと支える。
「……続きは、あとでな」
低く囁いてから、立ち上がって入口の扉へ向かった。
その間に、美咲は慌ててブラウスのボタンを留め、身なりを整える。
まだ頬に残る熱を隠すように、深呼吸をひとつした。
テーブルに料理が次々と並べられていく。
彩り鮮やかな皿が並ぶたび、ほんのり漂う香りがテントの空気を満たしていった。
コンシェルジュが去り、静けさが戻る。
さきほどまでの熱を秘めたまま、美咲は思わず視線を落とした。
整えたはずのブラウスの胸元に、まだ龍之介の温もりが残っている気がして。
テーブルに並ぶ食事の鮮やかさよりも、その余韻に心が揺れていた。
テーブルの上に残ったグラスを眺めながら、龍之介が携帯を手に取った。
「そろそろコンシェルジェに連絡するか。……30分後くらいでいいと思うか?」
「そうしましょう。その方が気持ちも落ち着きますし」
龍之介はゆったりと背もたれに身を預け、
「決まりだな。迎えは30分後……それなら余裕はある」