日ノ本元号男子
足の力が抜けそうになるのを、ぐっと堪えた。
「......!!」
本災が、初めて後退した。
圧が、ほどけていく。
絡まり合っていた土砂や瓦礫が、重力に従って落ちていく。
私は薙刀を振り上げ、最後の一撃を放つ。
次の瞬間。
重かった空気が、嘘のように消えた。
本災は、霧のように薄まり、やがて何事もなかったかのように消滅した。
(......勝った)
結界が解かれ、陰陽師達が駆け寄ってくる。
一人が、深く頭を下げる。
「ご無事で何よりです!」
私は、軽く手を振って応えた。
薙刀を地面に立て、深く息を吐く。
肺の奥まで澄んだ空気が流れ込んできて、やっと生きている実感が追いついた。
「ありがとうございます!」
「う、うっ…良かった……」
「おかえりなさい」
結界を張ってくれた陰陽師の人達が、それぞれひと言ずつ言ってくれる。
「おーい!お疲れ様〜!」
平成くんが手をブンブン振りながら駆け寄って来る。
「お疲れ様でした」
少し遅れて、明治さんがこちらへ来た。
安心したのかどっと疲れが押し寄せ、へなへなとその場に座り込むと、ポンッと頭に何か置かれる。
「......江戸くん!?」
頭に乗せられたのは江戸くんの手だった。
これは一体.......。
頭の中で疑問符が飛び交っていると、江戸くんは少し微笑む。
「頑張ったね」
「え、あ、ありがとう?」
「何で疑問形なんだよ」
すぐにいつもの呆れたような表情の江戸くんに戻ってしまった。
……残念。
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