日ノ本元号男子
「まず、この場所......悠久邸(ゆうきゅうてい)とでも呼びましょうか。この場所は普通の人のは見えませんし、入ることも出来ない不思議な場所なんです」
他の元号の人達と別れて、案内された応接間には、長いテーブルを囲む椅子。壁一面には本がぎっしり詰まった本棚。
次に案内された部屋は談話室だった。
小さめのテーブルとソファが何個か置いてあり、奥には寝っ転がれるように小上がりもある。
改めて室内を見渡した。談話室と言うだけあって、チェスや人生ゲーム、将棋やトランプなどのボードゲームの揃えは良いらしい。
「あ、美空ちゃん」
「待っとったばい」
「縄文くん、弥生くん!」
談話室にいたのは、縄文くんと弥生くんだった。二人共ニコニコと手を振っている。
縄文くんにワシっと手を掴まれた途端、反対側の手も明治さんに掴まれた。
縄文くんの反対側の手は弥生くんが握っている。
四人仲良くお手々を繋いだ、ら。
視界がぐにゃりと歪んだ。

「着いたよ」
ハッと目を開けると、目の前には広がる木々で形成された森。
「ここは......どこ?」
「縄文時代だよ」
「ウソォ!?」
私はすんっと腰が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。
頭の中は、な、何で!?っていう疑問符でいっぱい。これって、タイムスリップってこと!?
「何でタイムスリップできているんだろう......?」
「たいむすりっぷ?あぁ、時間旅行!厳密には違うんですよ。分かりやすく説明するとですね、僕達の記憶を元に再構築しているんです。実際の歴史に影響は出ないので、安心して下さい」
う〜んと唸っていた私の心情を読み取ったのか、明治さんが説明してくれた。
「じゃー気を取り直して、近くにムラがあるからそこ行こう」
縄文くんを先頭にして、森を抜けると、集落のような場所についた。
(わら)で造られた大きな家。あれが確か......何だっけ?
「あの家は竪穴式(たてあなしき)住居(じゅうきょ)。地面を掘り下げて床を作り、その上に柱を立てて屋根を付けた簡易的な家。夏は涼しく、冬は暖かいよ」
縄文くんの案内で、近くのムラにお邪魔することになった。
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