うちの鬼畜社長がお見合い相手で甘くて困る
車に乗って、再び夜の道を走る。
さっきまでの夢のような時間が、だんだん現実に近づいていく。

街のネオンが、窓の外を流れていった。

「今日は……ありがとう。すごく楽しかった」

そう言ったとき、ハンドルを握る海龍くんが、ちらりとこちらを見て、満足そうに笑った。

「そりゃよかった」

たったそれだけなのに、なんだかホッとした。

その横顔を見つめながら、少しだけ勇気を出してみる。

「ねぇ……」

「ん?」

「よかったら、今度は……私のお気に入りの場所に、連れていってもいい?」

一瞬、赤信号で車が止まる。
静かになる車内。

海龍くんは、前を見たまま、少しの沈黙のあと、ふっと口元をゆるめた。

「……もちろん」

その声が、いつもより少しだけ優しかった気がして、胸の奥がじんとした。
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