うちの鬼畜社長がお見合い相手で甘くて困る
車内は、思ったより穏やかな空気だった。
社長――海龍は、会社で見る姿よりもずっとラフな印象で、
昨日の天気の話とか、最近見た映画の話とか、拍子抜けするほど他愛もない話を続けていた。
(……え、なにこの感じ)
思ったより普通。
思ったより……優しい。
肩の力が少し抜けてきたとき、車が静かに停車した。
「……着きました」
社長が言う。
(レストラン?それともカフェ……?)
なんとなくそんな予想をしていた私は、何気なく車窓の外を見た。
そして、目を見開いた。
(……え)
そこにあったのは、重厚なガラス扉と、洗練された照明。
控えめなロゴ。黒服のドアマン。
一目でわかる。
高級ブティックだ。
「……ここ、ですか?」
「はい」
海龍は助手席の私のほうへゆっくりと身体を向け、こう言った。
「今日は、洋服をプレゼンしますよ」
「……は?」
「デートなので。あなたの魅力を最大限に引き出す服が、必要ですから」
「ま、待ってください。あの、そういうの……」
「苦手、でしょうね」
あっさりと断言された。
「でも僕は、“あなたが綺麗になるのを、見たい”と思ってる」
その一言が、妙に胸に刺さった。
(……なにそれ)
凪は唖然として、海龍を見た。
彼は、当たり前のようにドアを開け、先に車を降りる。
まるで、“追いかけてくるのが当然”みたいな態度で。
そしてドアの外から、にこりともせず、さらっと言った。
「プレゼンなので。拒否権はありません」
(……鬼畜……!)
社長――海龍は、会社で見る姿よりもずっとラフな印象で、
昨日の天気の話とか、最近見た映画の話とか、拍子抜けするほど他愛もない話を続けていた。
(……え、なにこの感じ)
思ったより普通。
思ったより……優しい。
肩の力が少し抜けてきたとき、車が静かに停車した。
「……着きました」
社長が言う。
(レストラン?それともカフェ……?)
なんとなくそんな予想をしていた私は、何気なく車窓の外を見た。
そして、目を見開いた。
(……え)
そこにあったのは、重厚なガラス扉と、洗練された照明。
控えめなロゴ。黒服のドアマン。
一目でわかる。
高級ブティックだ。
「……ここ、ですか?」
「はい」
海龍は助手席の私のほうへゆっくりと身体を向け、こう言った。
「今日は、洋服をプレゼンしますよ」
「……は?」
「デートなので。あなたの魅力を最大限に引き出す服が、必要ですから」
「ま、待ってください。あの、そういうの……」
「苦手、でしょうね」
あっさりと断言された。
「でも僕は、“あなたが綺麗になるのを、見たい”と思ってる」
その一言が、妙に胸に刺さった。
(……なにそれ)
凪は唖然として、海龍を見た。
彼は、当たり前のようにドアを開け、先に車を降りる。
まるで、“追いかけてくるのが当然”みたいな態度で。
そしてドアの外から、にこりともせず、さらっと言った。
「プレゼンなので。拒否権はありません」
(……鬼畜……!)