逃亡中の王女が敵国の皇太子に娶られた件

「わたくしの負けよ。煮るなり焼くなり好きにして」

 自分を殺すのが血の繋がりがある人ではなく見ず知らずの彼だということがせめてもの救いだ。彼の表情だって変えられた。気分がいい。最期の最期で自分を少し好きになれた。
 
「とんだ誕生日プレゼントね」

 乾いた笑みが零れ落ちた。それから首を切り落としやすいように下を向く。
 だが、剣が振り下ろされることはなかった。

「……何をどう勘違いしているのかは知らんが、端からお前を殺す気などないぞ」
「は……?」

 一瞬何を言われているのか理解できなかった。
 名前も名乗らない、皇族を倒そうとした人間を殺さないなど、気でも触れたのだろうか。

「せっかく私に並ぶ魔力を持ち合わせる人間に出会えたのだ。人体実験に使ったり国のエネルギー源にしたり人間兵器に改造したりといくらでも使い道はあるだろう」

 人のことをただの道具としか見ていないような発言だ。父もそうだった。上に立つ人間はみなそうであらねばならない。そうではないと国は守れない。情など捨て置けと何度叩き込まれたことか。

「だから最初はそうしようと思ったのだが……、気が変わった」

 彼はしゃがみ込み彼女と目線を合わせた。頬に手を添え、自身の方へと引き寄せる。

「私の妻になるといい。お前が気に入った」

 彼がそう言い放った瞬間、彼女は気を失った。
< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

【シナリオ版】恋した先輩には病みがある!?

総文字数/43,778

恋愛(学園)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
⚠︎︎ 本作は『恋した先輩には病みがある!?』のマンガシナリオ版です。 「第9回noicomiマンガシナリオ大賞」にエントリーしています。 ⚠︎︎ 「斗愛先輩好きです!恋桃と付き合ってください!」 「ありがとう。でもごめんね」 たとえ人生初の告白が玉砕しようとも、 「絶対に好きにさせてみせるので覚悟しておいてくださいね、筒井斗愛先輩♡」 絶対絶対ぜーったい諦めませんからね!! ♡♥♡ 自己肯定感高めのポジティブガール 佐々木恋桃 (ささきこもも) × 正統派の皮を被った病み深め王子 筒井斗愛 (つついとうあ) ♥♡♥ 「おはようございます斗愛先輩!大好きです!」 「先輩次の授業なんですか?あと今日も好きです」 「なんか、先輩に撮られると思うと、照れますね」 ひたむきに気持ちを伝えているうちに 「・・・それは俺限定?」 斗愛先輩の気持ちにも変化が!?!?
恋した先輩には病みがある!?

総文字数/50,665

恋愛(学園)120ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「斗愛先輩好きです!恋桃と付き合ってください!」 「ありがとう。でもごめんね」 たとえ人生初の告白が玉砕しようとも、 「絶対に好きにさせてみせるので覚悟しておいてくださいね、筒井斗愛先輩♡」 絶対絶対ぜーったい諦めませんからね!! ♡♥♡ 自己肯定感高めのポジティブガール 佐々木恋桃 (ささきこもも) × 正統派の皮を被った病み深め王子 筒井斗愛 (つついとうあ) ♥♡♥ 「おはようございます斗愛先輩!大好きです!」 「先輩次の授業なんですか?あと今日も好きです」 「なんか、先輩に撮られると思うと、照れますね」 ひたむきに気持ちを伝えているうちに 「・・・それは俺限定?」 斗愛先輩の気持ちにも変化が!?!?
冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

総文字数/139,172

恋愛(キケン・ダーク)360ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
【黎明】 それは一人の総長と四人の幹部からなる、 私立京極学園最大の暴走族の名前だ。 彼らはかつて学園を支配していた【堕天】を 打ち砕きトップの座に君臨した。 これでようやく学園に平和が訪れると思っていた。 「これから姫としてどうかよろしくお願いします・・・!」 ─────姫が現れるまでは。 ▽▼▽ 「これは豹牙さんの命令です。 必ず遂行してください」 豹牙に忠誠を誓う【黎明】の幹部 冴妃 (さき) × 「冴妃は俺の姫だ。お前らのじゃない」 冴妃を囲う【黎明】の総長 豹牙 (ひょうが) ▲△▲ 姫を連れてきたのは豹牙さんなのに 「今日からお前が俺の姫だ、冴妃」 って言われても意味がわかりません。 「お前は姫なんだからもっと俺を癒せ」 いいえ違います。 私はただの幹部です。 そう思うのに・・・───── 「このまま膝の上でじっとしていろ」 「・・・・・・はい」 私はこの方の言葉に逆らえない。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop