「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
カイルはひとつ深呼吸をして、私の正面に立った。そして、ポケットから小さな箱を取り出すと、まっすぐに私を見つめた。

「セレナ。正式に、君に婚姻を申し込みたい」

「……えっ」

「君を、俺の妃にしたい。これまでは立場もあって、ずっと言えずにいた。でも、もう、迷わない。俺には、君が必要だ」

ぱかっと開かれた箱の中には、小さな指輪が光っていた。

胸の奥が、熱くなる。

「……なんでもっと早く言ってくれなかったの?」

「……緊張して、今にも吐きそうだった。」

それを聞いて、ふっと笑ってしまった。いつも立派で堂々とした皇太子が、私との未来の前では、こんなに不器用なんだ。

「じゃあ、その指輪……もらってあげる。」

私がそう言うと、カイルの顔がぱっと明るくなる。

そして指輪を薬指にはめてくれたその手は、少しだけ震えていた。

「……ありがとう、セレナ。君の未来を、俺にください。」

「うん。ずっと隣にいるって、決めてたから。」

──それは、初めて“妃と皇太子”ではなく、“男と女”として交わされた、未来の約束だった。
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