「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「そしたら、ユリウスなんて──見返せるのに。」

その言葉を吐いた瞬間。

「……その願い、叶えようか?」

低く、穏やかな声と共に、後ろから伸びてきた手が、私の腕を掴んだ。

「……えっ?」

思わず振り返ると、そこにはまっすぐな眼差しのカイル殿下がいた。

さっきまでの優しさとは違う。

彼の瞳には、確かな決意の光が宿っていた。

「俺と婚約すれば、ユリウスを見返せるだろ?」

唖然としたまま、私は言葉を失っていた。

「どうした?あいつに復讐したいんだろう?」

カイル殿下は、軽くウィンクしてみせた。

「俺を利用すればいい。君が“捨てられた令嬢”じゃないって、社交界中に知らしめてやろう。」

冗談のように言いながらも、その瞳は真剣で──私は息を呑んだ。
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