「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています

舞踏会の夜。

私はユリウス様と一緒に、馬車に揺られて会場へ向かった。

今夜は、私たちが結婚間近であることを、社交界に広く知らせる大切な舞台。

私はこの日のために、ドレスも髪型も、何度も鏡の前で確認した。

粗相なんて絶対にできない。公爵令嬢として、そしてユリウス様の婚約者として、恥じないようにしなきゃ。

けれど──

会場に到着した瞬間、空気が変わった。

「きゃああ！ユリウス様！」

「ユリウス様、今日も素敵ですわ！」

私たちが扉をくぐっただけで、令嬢たちの黄色い声が飛び交い、視線が一斉に彼へと注がれる。

煌びやかなシャンデリアの下で、ユリウス様はいつものように涼しげな表情を浮かべ、どこか誇らしげに微笑んでいた。

──やっぱり、素敵な人。

長身で、整った顔立ち。育ちの良さが滲み出る立ち居振る舞い。

昔から人気者だったけど、こうして婚約者として隣に立つと、改めて思う。