「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
私には、もったいないくらいの人なのかもしれない……と。

それでも、私は彼の隣にいられる。この手を取ってくれたのは、ユリウス様なのだから。

「セレナ。」

私の名を呼んだユリウス様が、そっと手を差し出してくる。

「僕と──踊って頂けますか?」

「……はい。」

それは、ずっと夢に見ていた場面だった。

彼の手を取って、煌びやかな舞踏会の中央で踊る──婚約者として、堂々と皆の前で。

緊張していたけれど、私は笑顔を作って、静かに頷いた。

けれど──

「……あれが、ユリウス様のお相手?」

「地味にも程があるんじゃない?」

「髪型もドレスも、ぱっとしないわね。」

舞踏曲が流れ始める直前、背後から微かに聞こえるクスクスという笑い声。

確かに私は、目立つタイプではない。今日のドレスも落ち着いたベージュ。

でも、それが悪いとは思っていなかった。ずっとそうだったし、それでも彼は──。
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