「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
そう言ってくれるたびに、胸の奥があたたかくなる。

これは復讐のための婚約だった。

でも──
この人の言葉や仕草に、私は少しずつ、心を持っていかれそうになっていた。

「実は、殿下……」

お茶を口にしながら、私はそっと話を切り出した。

「先日──ユリウス様が、私の屋敷を訪ねてきたんです。」

「……ユリウスが⁉」

カイル殿下の眉が、ぴくりと動いた。

「ええ。どうやら、私が殿下と婚約したって噂を聞いて、慌てたみたいで。“よりを戻そう”だなんて、今さら言ってきたんですよ」

カイル殿下は驚いたように目を見開き、すぐに吹き出した。

「はははっ……アイツ、ほんとに言ったの? よりを戻そう、って?」

「はい。でも、ちゃんと言ってやりました。」

私はふふっと笑いながら、カップを置いた。

「“私を誰だと思っているの? 将来、王妃になるかもしれないのよ?”って」
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