「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「……覚えててくれたんですね」

目頭が熱くなる。

「もちろん。君の好きなものくらい、全部覚えてるさ。」

その言葉が、私の胸にやさしく灯る。

誕生日に、こんなに幸せな気持ちになれるなんて、思ってもみなかった──

そして夜──カイル殿下をお招きして、私の誕生日パーティーが始まった。

屋敷の広間は花で飾られ、テーブルの上には見たこともないような料理がずらりと並ぶ。

いつもよりもずっと豪勢なディナー。

料理長も張り切ったのだろう。

けれど何より、カイル殿下がその一つひとつを嬉しそうに口に運んでくださるのが、私にとっては一番の喜びだった。

「これは……ローストビーフと柑橘ソースの組み合わせ。絶妙ですね」

「ありがとうございます、殿下。」

お父様が深く頭を下げる。

「いえいえ。私どもの屋敷で誕生日パーティーを開くなんて、勿体ないことで……」
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