「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「お父上、私は“セレナのために”ここに来たんですよ?」

さらりとそう言われて、お父様はますます頭が上がらない様子。

そんな様子を見て、母がそっと笑いを噛み殺している。

私はというと、殿下が“私のために来た”という言葉だけで、胸がいっぱいになっていた。

ケーキの火を吹き消す時、カイル殿下がそっと私の手に触れた。

「願い事は?」

「……この幸せが、ずっと続きますように」

心の中でそっと呟いた──それは、今の私の、何よりの本音だった。

そしてパーティーの後、夜の庭を、私たちはゆっくりと歩いた。

木々に吊るされたランプが、揺れるたびに柔らかな灯りを落とし、足元の芝を優しく照らしている。

「幻想的ね……」

私がそう呟くと、カイル殿下はそっと私の手を取った。

歩きづらい裾を気にかけてくれているのが伝わる。

彼の指先はあたたかくて、心まで安心に包まれた。
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