「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
それぞれが、着飾った相手を連れて登場し、華やかな夜が始まろうとしていた。

その時だった。

「カイル殿下!」

甲高い声とともに、数人の令嬢たちが周囲を囲んだ。

色とりどりのドレスに身を包んだ彼女たちは、まるで獲物を狙う蝶のように、カイルに笑みを向けてくる。

「婚約なさったんですって?本当に残念……寂しいですわ」

「どんな方なのか、教えていただけません?」

そんな声に、カイルはふっと微笑んだ。そして、何のためらいもなく、私の肩をそっと抱き寄せる。

「こちらの、セレナ嬢だよ」

一瞬、周囲の空気が凍った。

「ええええっ⁉」

「セレナ……だったの⁉」

「見間違えたわ。なんだかすっかり、綺麗になって……」

一人がそう言うと、他の令嬢たちも、驚きと戸惑いの入り混じった視線を私に注いでくる。

私は少しだけ、唇を引き結んだ。

昔は、地味で目立たなかった私。
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