「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「……大丈夫です。殿下が忙しいのは分かっていますから。」

そう言いながらも、胸の奥に少しだけ寂しさがあったことを、私は自覚していた。

けれど、こうして来てくれるだけで、報われる。

「でも、今日会えて嬉しいよ。こうして花を渡せるのも。」

私がふとカイルを見ると、彼は真剣な瞳でこちらを見つめていた。

その眼差しがあまりにまっすぐで、思わず視線を逸らしてしまいそうになる。

「あの……」

声が震えてしまう。けれど、彼は微笑まずに、ただ静かに答えた。

「ん?」

「そんなに見つめられると……穴が開いてしまいそうです。」

そう言って、私は受け取ったばかりのブーケで、そっと顔を隠した。

甘い花の香りに紛れて、心臓の音が聞こえてきそうだった。

けれど、次の瞬間。

「婚約者の顔を見て、何が悪いの?」

カイルは、私の手元のブーケをそっとずらし、もう一度その瞳で私を見つめた。

逃げられない。優しくて、まっすぐで、私だけを見つめてくる眼差し。
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