自由奔放な女性が描いた人生の選択は
 3コマ目の講義終わりに会う彼は、同じ大学に通う、一ノ瀬貴文(いちのせ たかふみ)で、同級生である。

写真サークルで知り合い、付き合ってそろそろ3年が経とうとしている。

大学内で待ち合わせをして、いつものコンビニで、食料とお酒を買い込み、コンビニ袋をぶら下げて、もう片方の手はしっかりと恋人繋ぎで、貴文の住むアパートに直行。

 貴文は、ネットで良さそうな映画を見繕っている間に鈴奈は
、テーブルの上にコンビニで買った、サンドイッチやチキン、
映画には欠かせないポップコーンのセッティングを済ませた。

貴文がチョイスした映画は、少し前に流行ったラブストーリー物で、情熱的だが、激しいものではない。
 
照明をやや落として、ビール片手に映画は始まった。

2人で言いたい放題に映画の批評をしたり、

「それマジ!」とか、

「そうそう、わかる〜」とか、

映画館では出来ない事を、2人は貴文の部屋で楽しんでいた。

映画のエンドロールが終わると、映画の興奮が冷めやらぬままに、2人はベッドイン。

大学のセックスの平均は、週に1回ぐらいらしい。

2人も平均かちょっと多いぐらいの頻度で彼の部屋を訪れて、
セックスをしていた。

1回目が終わって、裸のままでベッドに横になっていると、

「鈴奈、あのネックレス気に入ってくれた?」

『ギャッ!』と心の中で叫んだ。

ネックレスを貰った時は、
「ありがとう! 嬉しい!」

「肌身離さずつけるわ! ありがとう!」

などと言っておきながら、その肝心なネックレスの所在さえ分からないのだ。

鈴奈は貴文のことを大切に思っていた。
もし、プロポーズされたら、天にも昇る嬉しさで、すぐに「はい」と答えるだろうと思っていた。

「今朝、寝坊してしまった、ネックレス付けてくるの忘れてしまったの。
今度、付けてくるわ」と、
その場は嘘で誤魔化した。
彼は、納得したような様子に見えた。

鈴奈は彼の温かい身体から、名残り惜しそうに離れ、花柄のワンピースを着た。

鈴奈は彼の家を出た。








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