√スターダストtoらぶ
コンカフェバイト初日はただひたすらにセリフを頭に叩き込み、動画を見てキャラの挙動を覚えることに集中した。

余計なことは考えずに、

息を吸って吐いてを繰り返すように、

西園寺満月を生きる。

演じるのではなく生きるのだと、耳タコになるほど雇用主に言われた。

俺の一言で女性達(中には男性もいるのだが…)笑顔になるのだから良いことにしよう。

どうにもそれがいつも俺がしてることみたいで

あぁ、そういうことか、なんて、

合点がいってしまったりもして。

やはり俺が見て来た

女っていう生き物は

俺を偶像のなにかと思っているんだ。

手の届かない

息のかからない

何か。

夢か幻か。

俺はある意味必死で捜して

道すがらの副産物で

満たしてあげていたはずだったんだけど、

とどのつまり、

俺は人間ではなかったんだ。

向こう側の何か、だったんだ。

触れられる実体でありながら

魂のない模型。

俺は一体いつから

いつからこんななのだろう。

追いかけられながらも

すり抜けていく

亡霊になってしまったのだろう。


だから、なのだろうか。

怪我の功名なのか、俺はあっという間に西園寺満月を体得した。

空っぽの俺の肉体に西園寺満月の魂が入り込んできて、久しぶりに呼吸がしやすかった。

生きてるって感じがした。

< 28 / 84 >

この作品をシェア

pagetop