√スターダストtoらぶ
雇ってしまった。

次の日出社して早々に発覚した。


「今日から新人さん入るからよろしく」

「新人ってシフトに名前ある人ですよね?」

「そうに決まってるじゃん。今さらそんなこと確認して大丈夫?今日初日だから大変だと思うけど先輩として頑張って。高橋さん、琳太朗くん、頼んだよ」


店長に丸投げされた。

見る見る青ざめるわたしを見てやまりんが心配そうにわたしの顔を覗き込む。


「らぶ先輩…」

「だ、大丈夫。何とかするから」

「でも、顔色が…」

「やまりんが昨日連絡くれた時点で覚悟はしてきた。うちは経済的にもバイトは辞められないから耐えるしかない」

「で、でも…」


と、その時だった。

自動扉が開き、外から見覚えのある輪郭が現れる。

…はぁ。

やっぱり嘘じゃない。

本物だ。

穏やかな日常の終わりを告げるガッシャーンという破裂音が鼓膜に届いた気がした。

やつがこちらに向かって歩いて来る。

一体どういうつもりで、

何のために、

ここに来たの?

疑問符を飲み込み、対峙する。


「久しぶり、らぶちゃん」

「…軽々しく名前で呼ばないでください」


わたしもやまりんもやつを睨む。

やつはヘラヘラと笑う。

余裕のある笑みを見ているとマグマが沸々とわいてくるみたいに胸の奥がだんだんと熱くなって来る。


「あの、単刀直入に聞きます。どうしてここでバイトしようと思ったんですか?私立校に通ってて経済的に困窮しているとは思えませんし、仮にそうだとしてもコンカフェで働けるくらい顔面偏差値の高いあなたなら他に働けるところなんていくらでもありますよね?なら、なんで?」


彼はふっと笑った。

やまりんみたいに可愛くないし、

朝雪くんみたいに純粋じゃない。

嘘偽りで塗り固められたような不敵な笑みを見て

わたしはゾクっとした。

冷や汗が一筋背中を流れる。

彼が口を開く。


「ひとつだけ言わせて」

「え?」


彼がレジ横の従業員専用の出入口に手をかける。


「キミが嫌がることは絶対にしない。約束する」


そう言い残し、彼は…愁真さんはロッカーに向かっていった。


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