甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


「ふわあ、美形すぎるでしょ本当……」

「ねえねえ、今日これから遊びに行かない?」

「えっ、私も行くー!!」

「わ、私も私も!!」


ちらほら聞こえるそんな声たち。

そして、その女の子たちの真ん中で困ったように笑っていたのは、


「ええっ!?」


──さっきの、ハンカチを拾ってくれた彼だった。


「えっ、どうしたのゆあ」

「あ、ううんっ。なんでもない。ごめんね」


嘘でしょ……。

さっき話したときに、私と同じ色の上履きを履いていたから、同い年なはずなんだよね。


入学式初日からこんなにモテてるってどういうこと……!?

いやまあたしかに、めっちゃイケメンだなって思って、きゅんってして、そればかり考えていたよ私も。

モテるだろうなとも思ったよ。

でもまさかここまでとは思わないじゃん……!!


すごいけど、なんでか複雑だなあ、ちょっとだけ……。


「ゆあ?廊下の方ばっかり見て本当どうしたの?」

「あはは、なんでもないってば」

「……そう?」


納得いかなそうな表情をする羽衣に、私はもう一度苦笑いで返した。

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