甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


何度も何度も、「瀬良くんかっこいい」とか、「椎葉さんなの納得できない」とか、悲しい声が聞こえてくる。


「あの、千紘くん」

「なに?」

「しょ、少々視線が痛くて……」

「ゆあがかわいいからじゃない?
俺が睨んどけばなんとかなるでしょ」


そう言うと、千紘くんは一瞬だけ周囲を鋭くにらんだ。

すると、そんな私を卑下するような声は一切聞こえなくなって。


「千紘くんパワーすごい……」

「だったら最初から言うなって話だよね」

「まあ、それはその通りだけどさ」


それから、なんとなしに旧校舎の方へ向かった。
まったくと言っていいほど人通りがない、静かな場所。


「静かなところって、なんか落ち着くよね」

「俺、毎日ここ来るからすげー分かる」

「あははっ」


しんみりした表情で返す千紘くんが面白くて、思わず笑ってしまう。

なかなか見られない、レアな表情だよ。


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