甘い記憶を溶かしたら
ほろ苦いだけの毎日
「さすが遠野(とおの)さん! 頼りになるぅ〜!」
「いやいや、そんなたまたまだしお力になれて良かった」
「困った時の遠野さんだね! また何かあったらお願いしますー!」
「はぁい……」

 走り去っていく同僚にひらひらと力なく手を振り笑顔で顔が固まっている私がいる。

 ――ああ、またやってしまった。

 困った時の遠野さん、いつからかついてしまったキャッチコピーに嬉しがって走り回っていた幼かった私。今はそんな張り切っていた過去の自分に首を絞められている。
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