女子高の王子様は、護る人が危なっかしくて困る
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その夜、神代家の地下訓練場。
木刀を振るう凛の動きに、わずかな乱れがあった。
父の目が、鋭く光る。
「……心が乱れているな、凛」
「……申し訳ありません」
「任務に“感情”を持ち込むな。対象がどれだけ脆く、優しくても……お前はただの影だ」
その言葉が、胸に重く響いた。
だが凛は――
心の奥で、もう一人の自分の声を聴いていた。
(でも、私は……彼の隣に、ただ“影”としているだけじゃ、きっと満足できない)