漂う花は、還り咲く

学校では、今まで通り話す。


でも、たまり場に行けば——

自然と、離れていく。


最初は、もっと分かりやすかった。

顔を合わせたとき、あいつらが俺に敬語を使った。


「やめろよ」


そう言ったら、すぐにいつも通りに戻ったけど。


それでも。


前と同じには、戻らなかった。


呼び方も、距離も、空気も。

ほんの少しずつ、ズレてる。


俺が変わったのか。

あいつらが変わったのか。

——たぶん、どっちもだ。


立場が変わっただけで、こんなにやりづらくなるなんて。

同じ場所にいるのに。

前みたいに、隣にいない。


どう接すればいいのか、分からないのは——たぶん、俺も同じだ。


距離なんて、そんな簡単に変わるもんじゃないと思ってたのに。


「……っ」

小さく息を吐く。


——寂しい。

さっき、六花に言った言葉が頭に浮かぶ。



なんで、分かったんだよ。

誰にも、言われたことなかったのに


気づかないふりをしてれば、それで済むと思ってた。


横を見る。

少しだけ距離を空けて座る六花。


無理に踏み込んでこないくせに、ちゃんと見てる。


「……なんなんだよ」


小さく呟く。


他のやつみたいに、適当に流せばいいのに。

放っとけばいいのに。


それをしないで、でも無理に聞き出そうともしない。


ちょうどいい距離で、そこにいる。


「……変なやつ」

ぽつりとこぼす。

でも。

その“変さ”が、少しだけ——

心地いいと思った。

さっきまで、胸の奥に引っかかってたものが、ほんの少しだけ軽くなる。

「……ありがと」

聞こえないくらいの声で、そう呟いた。
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