漂う花は、還り咲く
晴side
直樹と魁とは、小学校の頃からずっと一緒だった。
いつも三人でつるんで、やんちゃして、怒られて。
それでもまた次の日には集まって、笑ってた。
この中学を受験したのも、魁が「ここに行きたい」って言ったからだ。
正直、俺と直樹の学力じゃ全然足りなかった。
それでも——三人でいたくて、死にものぐるいで勉強した。
補欠から合格に変わったとき。
一番喜んでたのは、俺じゃなくてあいつらだった。
魁は特進科で、俺と直樹は普通科。
クラスは別になったけど、それでも休み時間には自然と集まって、放課後も一緒に帰って。
同じ学校に来れてよかったって、何度も思った。
——あの頃は。
中二の放課後。
コンビニの前で、不良に絡まれて。
どうしようもなくなったとき、助けてくれたのが凛月だった。
そのときはただの“強い先輩”だと思ってた。
でも後日、学校で偶然会って、お礼を言ったら——
そのまま、たまり場に連れていかれた。
「見られた」
当時の総長にそう言った凛月は、今よりずっと幼かったのに。
それでも、逆らえない空気があった。
正直、怖かった。
このまま何されるんだろうって、勝手に想像して。
でも。
「強くなりたいか」
そう聞かれて。
迷わず頷いた。
少しだけやんちゃしてた俺たちは、そういう世界に憧れてた。
でも、本気でワルになれるほどじゃなかった。
だから。
海月は、ちょうどよかった。
変に縛られなくて、でもちゃんと強くなれて。
三人で鍛えて、三人で笑って。
三人で、強くなれてるって思ってた。
——思ってたのに。
三代目海月の幹部に選ばれたのは、俺だけだった。
名前を呼ばれたとき、何が起きてるのか分からなかった。
中学生で幹部なんて、ありえない。
それでも。
断れたのに、断らなかった。
認められたことが、嬉しかったから。
……嬉しかったんだ。
二人も、笑ってた。
拍手してくれてた。
だからそのときは、何も疑わなかった。
すぐに、三人で並べると思ってた。
でも。
気づけば、俺は幹部室にいる時間が増えて。
幹部五人でいるのが当たり前になっていった。