漂う花は、還り咲く

「ねぇ六花。」


突然話しかけられて少し驚く。

確か、千隼って言ったっけ。

「体の使い方、悪くない。いや、かなりいい。
反射は鋭いし、しっかり相手の重心を見て動いてる。多分、子供の頃から体で覚えてるタイプなんだと思う。」


私はぽかんと彼を見上げた。


「あ、ありがとう…?」


「でも足りてない。体力と筋力。あと、動くことに対しての目的意識が抜けてる。」


その言葉に、自然と眉が寄る。


「目的意識…?」


「たとえば、攻撃を避けるとき。避けた先でどうするかが定まってない。だから動きに無駄が出る。
反応で動いて、結果的に正解になることはあるけど、それは“勝てる“動きじゃない。
…生き残る動き、だよ。」


結翔の撮った動画を見ながら解説する千隼の言葉は、どこか深いところに刺さった。


確かに、私があのとき無意識にとった行動は、相手にダメージを与えるでも倒すでもなく、自分を守るためのものだった。

晴のときもそう。

相手が本気を出せば3秒もとどめていられないような、甘い攻撃。


「あと、筋力も体力も全然足りてない。体幹も。
だから晴の踏み込みに、最後の一歩が出なかった。それが出来てれば、完全に制圧できたのに。」


私は思わず肩をすくめた。
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