漂う花は、還り咲く
幹部たちはその中心に向かって歩き出したが、私はそこに混ざる勇気が出なかった。
気づかれないように一歩引いて、周りの下っぱたちに紛れ、そっと見守る位置に留まった。
「六花も来い」
凛月の声が、真っ直ぐ私を呼ぶ。
周りの視線が集まる中、一歩ずつ輪の中心に向かうと、凛月以外の幹部がスッとわきにはけた。
「…六花」
凛月の横に並んだところで、低く落ち着いた声が降ってくる…
「ここには、海月に入る奴が通る“決まり“がある。
形だけじゃねぇ。お前がどういう奴か、ここで見せろ。」
見れば、私たちを囲むようにして海月の構成員が並んでいた。
皆が黙ってこちらを見ている。
ただの見物じゃない。これは、審査だ。
「俺と手合わせする。時間制限も、勝ち負けも決めない。
ただ、お前の中身を見せろ。」
凛月が、ゆっくりと私の前に出た。
視線の鋭さも、締まった空気も、全てが私に向かってくる。
怖い、と思った。
でも、逃げたくない。ここで自分を証明したい。
私も静かに構えた。
ぎこちなくてもいい。非力でもいい。
ここでやるべきことは、たったひとつ。