漂う花は、還り咲く

幹部たちはその中心に向かって歩き出したが、私はそこに混ざる勇気が出なかった。

気づかれないように一歩引いて、周りの下っぱたちに紛れ、そっと見守る位置に留まった。


「六花も来い」


凛月の声が、真っ直ぐ私を呼ぶ。


周りの視線が集まる中、一歩ずつ輪の中心に向かうと、凛月以外の幹部がスッとわきにはけた。


「…六花」

凛月の横に並んだところで、低く落ち着いた声が降ってくる…


「ここには、海月に入る奴が通る“決まり“がある。

形だけじゃねぇ。お前がどういう奴か、ここで見せろ。」


見れば、私たちを囲むようにして海月の構成員が並んでいた。


皆が黙ってこちらを見ている。


ただの見物じゃない。これは、審査だ。


「俺と手合わせする。時間制限も、勝ち負けも決めない。

ただ、お前の中身を見せろ。」


凛月が、ゆっくりと私の前に出た。


視線の鋭さも、締まった空気も、全てが私に向かってくる。


怖い、と思った。

でも、逃げたくない。ここで自分を証明したい。



私も静かに構えた。

ぎこちなくてもいい。非力でもいい。

ここでやるべきことは、たったひとつ。
< 21 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop