漂う花は、還り咲く

「なぁ六花。」


掛けられた声に振り向くと、総長の顔をした凛月が、真っ直ぐ私の目を見ていた。


自然と私も背筋が伸びる。


「どんな綺麗事を並べたって、俺たちは結局、“暴走族“なんだよ。
世間から見たら外れ者だし、当然危険なことも多い。
生半可な気持ちで入る場所じゃねぇ。

それでもお前は、海月の仲間になるか。」


心はもう決まってるよ。


「うん、なる。私頑張ってみるよ。」


少しの時間、凛月に目の奥をじっと見つめられた。


その鋭い視線に、思わず息が詰まりそうになる。

でも私は、怯みそうになるのを堪えて、凛月の瞳を真っ直ぐ見返した。

すると凛月の瞳がふっと柔らいだ。


「広場行くぞ」


静かなその一言に、すぐさま晴が「ほーい」と返す。

それを合図に、各々自由に過ごしていた5人が立ち上がった。

私は何が起こるのか分からないまま、幹部たちに挟まれて歩き出す。

さっき通ってきた、人の多い広場へと向かう道。

ざわついていた空気が、幹部たちの歩みに合わせて少しずつ静まっていくのを感じる。


「中心、開けろ。」


決して大きくはない凛月の声だったけど、その一言で広場の真ん中にスペースが作られる。


ここでも、凛月はやっぱり総長なのだと実感する。
< 20 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop