漂う花は、還り咲く


「でもさー、ちょっと喉潰れたかも」

「潰れるほど歌ってたっけ?っていうか、ずっと踊ってただけじゃん!」

「うるさーい!」


ふと、前を歩く友達の足が止まる。


「え、なに……?」


不自然な空気。

その原因はすぐに分かった。

道の端、街灯の下にいた二人組の男が、私たちを見てニヤついてる。


「ちょっとキミたち〜、今から遊ばない?まだ時間早いしさぁ」


あー、最悪。

友達が少し引いたように私の腕を掴む。

男たちは気にせず近づいてきた。


「カラオケ帰り?盛り上がってたっぽいし、テンション冷めないうちにさ」


「ごめんなさい、予定あるんで」

「えー?そんな警戒しなくていいじゃん。つれないなぁ」


言葉の端が、もう遊びのそれじゃない。

遠慮なしに手が伸びてきて、友達が腕を掴まれそうになる。


その瞬間だった。

私は、気づけば動いていた。

――音もなく、スッと一歩前へ出て。


「……やめてください」

自分の声が、いつもより低い気がした。

次の動作はほとんど反射。

自分でも信じられないくらいにスムーズだった。

まるで、前にもこういう動きをしたことがあるような。

こうするのが当たり前なような。


相手の手を払って、体の軸を回転させ――

男の肩を外側に引っ張りながら、足を引いて、重心を崩す。


「うわっ!?」

「え?」


男の体がぐらついて、地面に尻餅をつく。

その様子に驚く友達、立ちすくむもう一人の男。


「触らないでください。この子、嫌がってましたよね。」

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