漂う花は、還り咲く
次。
一人、二人。
数を数える余裕なんてない。
ただ、
来たら動く。
触れられる前に、ずらす。
倒す。
視界の端で、晴が動くのが見える。
でも、前に出すぎない。
あくまで、私の流れを邪魔しない位置。
最後の一人が、距離を取ろうと下がる。
――逃がさない。
私は一気に詰めて、肩をぶつける。
体勢が崩れたところに、膝。
相手が地面に座り込む。
……動かない。
静かだ。
さっきまであんなに騒がしかった路地裏が、嘘みたいに静まり返る。
私は、その場に立ち尽くした。
手が、震えている。
息が、整わない。
……終わった?
足に、力が入らなくなる。
そのまま、私は座り込んだ。
冷たい地面の感触が、やけに現実的だった。
肩が、上下する。
息を吸って、吐く。
遅れて、安心が押し寄せてきた。
――生きてる。
「……六花」
小さな声。
顔を上げると、晴がすぐそばにいた。
立ってる。
ちゃんと、隣に。
「……やったな」
その一言で、全部が抜けた。
私は、膝に額を預ける。
「……足、震えてる」
「見てた」
「……怖かった」
「それでいい」