シンユウノススメ
バーベキューは夜からで、まだまだ時間はたっぷりある。
薪を貰いに行った駿河さんもそろそろ戻ってきている頃だろう。
体が大きい彼と、ムギ達も少し手伝えばナオくんを「捌く」ことは可能だと思う。
「薪をくれる干物屋さんもご家族なの。ムギ達と同じくらいの男の子が三人居るんだって。食べ盛りだね」
「まさか菊地くんを食べっ…」
「完全に消せるよ」
「バレ、ない…?」
「焼肉行ってどこのどんな牛だったんだろうなんていちいち考える?」
メイちゃんがゆっくりと首を横に振った。
二つの眼球は血走っていて焦点も合っていない。
「あ…あの人は…信用、できるの…」
「できるよ。ムギのこのカラダがある限り。ずっとね」
ゴクン、と鳴らしたメイちゃんの喉が僅かに上下に動いた。
「鬼に、なれば…ムギちゃんは許してくれるんだよね?妹もお母さんもお父さんも生きていけるよね?」
「メイちゃん。ムギ達は運命共同体だよ」
「ムギちゃん…」
「だってムギとメイちゃんは、」
「親友、だから」
シンユウダカラ、
そのメイちゃんの口の動き、形、ぜーんぶ一生、忘れてあげないからね。
大好きだよ。
シンユウノススメ 完.


