魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~

 もっとリュミの笑顔が見たい。
 その想いがムスティの小さな背中を押したのかもしれない。

 次の瞬間、ムスティは脚をワキワキと動かし始める。
 独特な動きとともに、シュシュシュ……とやさしい音が響く。

 編み出されるのは、繊細なレースのリボン。
 花のような模様が連なり、白くてやわらかくて、あたたかみを感じる。

「……わぁ。これ、すごくきれい!」

 リュミの髪にそっと当ててみると、そのリボンはぴったりと馴染んで、まるで最初からそこにあるべきだったように自然だった。

「ありがとう、ムスティ!」

 ムスティは照れくさそうに、けれどうれしそうに、こそっと笑う。
 あたたかな時間が流れる中、椅子にドカッと腰を下ろしたエルドが、ふと口を開いた。

「ムスティ、おまえに聞きたいことがある」

 さきほどまでのゆるやかな雰囲気が、少しだけ引き締まる。
 リュミたちも姿勢を正し、ムスティの言葉に耳を傾けた。

「……森の奥。黒い気配がずっと広がってる」

「黒い気配?」

「……怖くて、逃げてきた。僕も、他のみんなも……だから、村の近くにいた」

「なるほどな」

 エルドは腕を組み、目を細めて頷いた。まるで、その可能性に気づいていたかのように。
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