魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~

「……ムスティ?」

 小さくつぶやいたリュミの声に応えるように、土の中から脚がのぞく。
 もそもそと這い出してきたのは、ムスティだ。
 体中が土と煤で真っ黒だったけれど、その目はしっかりと生きている。

「……みんな、生きてる?」

 辺りを見回すと、焦げた羽根をまとったリンコが、ゆっくりと羽ばたきながらこちらに向かってくる。

「ちょっと焦げたけど、まだ飛べるわよ」

 そう言って、くるりと空中で回ってみせるその姿に、リュミは思わず笑みをこぼした。

 パッロは尻尾をぱたぱたと揺らしながら近づいてきて、その煤けた背中を見せた。
 リュミはそっと手を伸ばして、みんなのぬくもりを確かめるように撫でていく。

「……よかった……本当に、よかった……」

 涙がまた、ぽろりとこぼれた。
 エルドが苦笑しながら、ぽつりとつぶやく。

「まったく……おまえには心臓がいくつあっても足りん」

 すると、ムスティがボソリとつぶやいた。

 誰もなにも言わなかった。
 ただ静かに頷き合って、家へと続く道を歩き出す。

 森は、信じられないほど静かだった。いつものざわめきが、どこかへ消えてしまったかのように。
 でもその静けさは、冷たさではなく、あたたかさを感じさせる。
 枝の合間から差し込む光はやわらかく、焦げた大地には、ところどころに小さな芽が顔をのぞかせている。
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