魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~

 その声には、どこか重みがあった。

「癒やしのスキルは、女神の祝福を宿す特別な一人が、命がけで森を守った結果……そのあとに続く者たちが、恩恵として受け取っているだけだ」

 リュミは足を止めて、その言葉を噛み締めるように、そっと目を閉じた。
 小さな手が、胸の前でぎゅっと握られている。

「じゃあ……リュミは、特別ってこと?」

「ああ、そうだ」

 エルドの声は少し低くて、でもどこかやさしい。

「おまえは、フォルステアの癒やしの力の源泉。おまえが森を守らなければ、やがてあの一族は癒やしのスキルを失うだろう」

 リュミの瞳が揺れる。

「リュミは……癒やしのスキルがもらえなくて、家を出たのに……」

 小さく震える声に、エルドはゆっくりと首を振る。

「……なぁ、リュミ。もし、おまえがフォルステアに復讐したいなら、森なんて守らなきゃいい。そうすれば、あいつらはじわじわ干からびていくだろう。だが――」

 エルドはリュミのほうを見つめる。

「どうする? おまえは、どうしたい?」

 リュミはしばらく考えてから、まっすぐ前を見た。
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