魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~
「……みんな、本当にありがとう」
さっきよりも、少しだけ強く、けれどやさしく。
その言葉は、森に溶けるように静かに広がっていった。
やがて、森に差し込む日差しがゆっくりと傾き始めた。
光は少しずつ黄金色に染まり、すべてがあたたかく包まれていく。
リュミは、パッロの大きな体にそっと寄り添った。
ムスティもその隣で丸まり、リンコも静かに羽を休めるように近づいてくる。
森の仲間たちに囲まれていると、心がぽかぽかと満たされていく。
ゆっくりと目を閉じると、いつの間にか眠気がやってきて、そのまま深い眠りへと落ちていった。
やさしい風が、森を通り抜けていく。
リュミは、パッロのぬくもりと、ムスティのやわらかな毛、そしてリンコの軽やかな羽に包まれながら、安心した顔で眠っていた。
夢の中の森は、いつもより明るく、そして信じられないほど美しく輝いていた。
小鳥たちがリュミの肩に止まり、小さな声で歌をささやく。
パッロが大きな前脚で枝を揺らすと、葉っぱが雨のように降り注ぎ、ウサギたちがそれを追いかけながらくるくると跳ね回る。
そんな光景の中に、ふわりと小さな影が舞い降りた。
光をまとった、キラキラと鱗の光る、小さな龍。
「リュミ、元気になったら会いにきて。待ってるからね」
その龍は、まだ頼りなげな小さな羽をぱたぱたと動かしながら、瞳をまっすぐにリュミへと向ける。
そのまなざしはどこまでも透明で、まるで夜明け前の星のようにきらめいていた。
胸の奥がじんわりとあたたかくなる。
リュミはゆっくりと頷いた。