魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~

 ふとパッロに視線を向けると、金色の瞳がまっすぐに見つめ返してくる。
 まるで、リュミをずっと待っていたとでもいうような、静かな、でも深い光を宿している。

「えっと……たぶん……パッロ、来てくれたんだと思うの」

 その一言に、パッロはリュミの手に鼻先を押し当て、喜びを伝えるようにすり寄る。
 男は腕を組んだまま、ぶつぶつと自問自答を繰り返す。

「なるほど……面白い。だが、謎は残る。スキルの発動条件、適応性、そして天吼の白獣の反応……まだまだ、解明すべき点は山積している……」

 ギラギラと光るその非地味に射貫かれるように、リュミは思わず身を縮めた。
 小さな手でパッロをぎゅっと抱き寄せ、彼を守ろうとする。

「だいじょうぶ……パッロ……こわくないよ……」

 本当は自分だって怖い。
 でも、リュミはパッロを安心させたくて、言葉を選ぶ。
 パッロは、リュミの気持ちを理解するかのように、そっと手に鼻をすり寄せる。その瞳には、深い信頼が宿っていた。

 男はしばらく無言のまま二人を見つめていたが、やがてフッと小さく息を吐く。

「ここで手放すのは、惜しいな……よし。君、しばらくここに滞在して体力を回復させるといい」

 リュミはぽかんと目を見開いた。

「ここに……いても、いいの?」

 信じられないような顔で尋ねる。
 自分は、フォルステア家の無能娘。それなのに、どうして。

 目に涙を浮かべながら見上げるリュミに、男は肩を竦め、どこか面倒くさそうに言った。
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