魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~

「エルドさんに見せたら、よく見つけたなって褒めてくれるかな?」

 そうつぶやいて振り返ると、すぐうしろにはパッロの姿。
 彼は穏やかな表情で、金色の瞳を細めて微笑んでいる。

「谷は湿気があるからな。こういう珍しい草がよく育つんだ。……でも、足元には十分気をつけろよ」

「うんっ!」

 リュミは元気よく返事をして、さらに森の奥へと足を進めた。
 けれど、頭の片隅では別のことを考えていた。

(リンコ……)

 思い出すのは、昨夜のこと。
 薬草採りに誘ったとき、リンコはぷいっと顔を逸らしながら言ったのだ。

『べつに、あんたについていくなんて言ってないわよ!』

(本当は、来てほしかったんだけどな……)

 そう思ったときだった。
 鋭く、かすれたような鳴き声が谷の森に突き刺さるように響いた。

「……!」

 リュミの体がびくりと跳ねる。息を止め、耳を澄ます。
 声はもう一度、聞こえた。今度はもっとかすかで、苦しげで、心をひりつかせるような小さな悲鳴。

 なんの迷いもなく体が動いた。
 考えるよりも先に、心よりも早く、体が反応する。
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