百花繚乱
「深雪……母さんや風音達みたいに、俺達の前からいなくならないでくれ。頼む。」

「紳太郎様……」

「俺たちには…深雪が必要なんだ。お願いだ…この家からいなくならないでくれ……」

紳太郎様のお気持ちを、私はこの時、初めて知りました。


「そう言うことだ、深雪。」

旦那様は静かに、そう仰いました。

「これからも、真木家を支えてくれよ。」

「…はい。」

自然に、そう答えられました。

「では、決まったところで、私は仕事に戻るとしよう。」

そして旦那様は、部屋を出て行かれました。


紳太郎様は手で涙を拭うと、照れ笑いを見せていました。

「そうだ、学校の課題が残っていたんだ。」

そう言って、泣いた顔を見られないようにと、旦那様と同じように、部屋を出て行かれました。


あっという間に部屋には、私と倫太郎様が残りました。

「……僕のせいですね。」

倫太郎様が、ボソッと呟きました。

< 26 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop