急行列車が過ぎた後で

【初恋を忘れたい】

智花「……いや、なんだ『死ぬかもしれない』って。疲れてるのかな」

この間の出来事を思い出し、さらに気が重くなった私は、駅のホームの椅子に座り込んだ。
2月の凍えるような冷たい風が、私の心を一層重くする。

なんていうか……ここ最近の悩みのせい、なんだろうな。

智花「……はぁ……」

白い息が、空に溶けていく。
そして、私の目の前をまた一台、急行列車が通り過ぎていった。

この鉛のような、重たい気持ちを乗せて行ってはくれないだろうか。
……乗せて行ってくれたら、どんなにいいだろう。

智花「……何考えてるんだろう、私」

この間のプチ同窓会から、ずっと考えていることがあった。

二十歳っていよいよ大人本番、って感じだったけど、そんなことない。
大人になるのって、全然簡単じゃないと最近痛感する。

この間会ったみんなは、もうちゃんと大人だった。
いや、正確に言えば、大人になるために、ちゃんと自分の道を歩き出していた。

っていうか、二十歳ってもっとキラキラしているものじゃなかったっけ?

好きなことも、将来のことも、恋愛も……全部うまくこなして。

……そう、漠然と思っていた。

けれど、私は全然違った。

ダンスだって、諦めてもうかれこれ2年間まともにやってない。
でも、一度は諦めた道なのに、心のどこかで本当は諦めきれない自分がいる。

教育実習に、就活……私って、本当に先生になれるのかな。
っていうか、本当に週5日も働くの?信じられない。

アルバイト。それが今の私の心の支えだった。
けれど、来期の授業日程的に、今のアルバイトを続けるのはおそらく厳しい。

……まさか、10歳の頃の初恋を、まだ引きずっているとは自分でも思わなかったけど。

私、何一つうまくこなせていないし、自信も持てないままだ。
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